メディアドゥグループのサステナビリティSUSTAINABILITY FOR THE MEDIA DO GROUP

サステナビリティについての基本的な考え方

当社グループは、著作物を生み出す著作者や出版社、著作物を手にするユーザーとそのアクセスポイントの役割を担う電子書店、そしてそれらの媒介たる当社グループとの協創によって社会エコシステムの構築を目指していくことを、ミッション「著作物の健全なる創造サイクルの実現」、ビジョン「ひとつでも多くのコンテンツを、ひとりでも多くの人へ」として掲げています。

したがって、当社グループにとってのサステナビリティとは、自らの事業・提供サービスが健全な経済社会の形成と著作物がもたらす文化の発展に貢献するという責任と自負を持って、役職員が一丸となって積極的に企業活動に取り組むことだと考えています。 こうした考え方のもと、SDGs(持続可能な開発目標)に代表される環境問題・社会課題に対してもミッション・ビジョンを軸にした経営・戦略を推進し、ESGの切り口で事業機会とリスクを整理しながら、社会課題の解決と持続的な成長を両立させ、企業価値の向上を果たしていきます。

サステナビリティ基本方針

当社グループは、社是に掲げる「成長と可能性」のもと、
100年続く組織を目指すとともに、経営理念の実現に向けて、
その過程において協働するあらゆるステークホルダーの価値の最大化を図る媒介として、
社会インパクトの創出に努めます。

当社グループは、コンテンツが持つ可能性を信じると同時に、
全ての人に平等に豊かな可能性があることを信じ、
このコンテンツと人にまたがる無限の可能性をつなげ、
世界をつなぐ媒介であり続けることで豊かな社会を未来につなぎます。

サステナビリティ関連方針と取り組み

※本文中にある「当社グループ」とは、株式会社メディアドゥ及び当社連結子会社により構成される企業集団を指します。

サステナビリティ推進体制

当社では環境問題や社会課題を、事業活動及び企業価値創造にインパクトを与え得るファクターとして、当社内により取り込んでいくべく、2022年6月よりサステナビリティ推進委員会を設置しています。サステナビリティ推進委員会は、コーポレート部門を管掌する取締役CSO兼CFOを委員長、人事部門、経理部門のそれぞれを管掌する執行役員を副委員長として、その他事業部門責任者や委員長が指名する当社役職員で構成し、原則年4回(四半期ごとに1回)開催します。同委員会は、気候変動問題等を含む、当社の持続可能性向上に資する機会とリスクの検討・整理、サステナビリティ戦略や施策についての評価、監督及びモニタリング機能の強化を目的とし、開催ごと適切な時期に取締役会に報告します。また、同委員会は、事務局である経営企画部及び総務部と連携し、社会情勢やステークホルダーからの要請を把握し、自社の中長期的なミッション・ビジョン及び経営戦略との整合を図りながら、当社グループにおける重要課題(マテリアリティ)の特定、見直しを行います。同時に、マテリアリティの特定プロセスにおいて抽出・整理された機会とリスクを踏まえ、各部門やグループ会社が取り組むべき具体的なサステナビリティ戦略やマネジメントすべきリスク項目や対応方針を設定し、対応主体を定期的にモニタリングすることで推進を図っていきます。

メディアドゥグループのマテリアリティ

当社グループは、サステナビリティ基本方針を踏まえながら、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティの同期化をより深化させ、長期的かつ持続的な企業価値向上を実現していくにあたって対処すべき重要な経営課題(マテリアリティ)を特定しています。

<特定プロセス>

  1. ①課題の洗い出し

    • SASB、GRIやIIRCなど国際的な報告のフレームワーク、ESG評価機関の調査項目等を基に、社会課題の洗い出しを実施するとともに、ステークホルダーごとの要請に関する仮説を把握・整理
  2. ②課題の分析

    • 認識した社会課題を含め、当社のパーパスや事業戦略達成に向けた機会・リスクと突合・分析
    • 分析結果と事業上のリスクを突合し、ロングリストを作成
  3. ③経営陣への報告と評価・検討

    • サステナビリティ推進委員会において、ロングリストをステークホルダーに対する影響、当社戦略の達成における影響、環境・社会・経済への影響等を踏まえて優先順位付けを行いショートリストを作成
    • ショートリストについて常勤役員会及び取締役会での分析・討議
  4. ④マテリアリティの特定

    • 取締役会での審議・決議を経て、経営上の重要課題として特定
マテリアリティマップ

<取り組み内容のモニタリングと開示について>

進捗については、サステナビリティ推進委員会を主体として定期的なモニタリングを実施します。また、マテリアリティについては、ステークホルダーエンゲージメント等を踏まえ、定期的な見直しを実施するとともに取り組み状況等を適宜、当社Webサイト等で開示します。

ステークホルダーエンゲージメント

ステークホルダー 主なエンゲージメント方法 経営・戦略への反映
お客様 問い合わせ窓口
  • お客様の声に基づく製品・サービスの改善や開発
  • 個人情報の適正な管理
Webサイト、ソーシャルメディア
メールマガジン
取引先・
パートナー
営業活動、日常的なコミュニケーション
  • ビジネスパートナーとの連携強化によるバリューチェーンでの提供価値向上
  • 公正な取引の徹底
  • 相互信頼に基づく緊密な関係の構築
お取引先説明会
お取引先アンケート
株主・投資家 株主総会
  • 株主・投資家との建設的な対話による経営の質の向上
  • 適切な会計処理と適時情報開示
  • 透明性、実効性の高いガバナンス体制の構築
機関投資家向け説明会
統合報告書
IRサイト
投資家とのミーティング
社員 経営方針説明会
  • 自社の目指すビジョンを共有し、社員が各々の個性を発揮し活躍するための環境づくりや制度の充実
  • ハラスメントの防止、徹底的な排除
  • 労働安全衛生への配慮
  • 多様な人材の採用、育成、定着
  • 成長機会の提供
従業員面談
社内アンケート(eNPS、ストレスチェック等)
社内広報(社内報、オウンドメディア等)
ホットライン窓口
従業員研修(新卒、中途、マネージャー)
産業医・保健師による健康相談
クレド
地球環境 事業活動における環境負荷の低減
  • 各事業を通じた電子書籍の利用拡大
  • 社内DXの推進
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に
基づいた情報開示
地域社会・業界 寄付・スポンサーなどによる支援
  • 地域・社会とのパートナーシップによる活動
  • 事業を通じた地域社会、業界への貢献
  • 先進技術を用いた社会的課題の認識/解決
地方を拠点とする事業の創生
業界団体への参加、理事としての活動
(W3C、一般社団法人ABJ、日本電子出版協会など)
メディア プレスリリース
  • 適正かつ真摯な情報の発信
  • 企業価値の可視化
取材
日常的なコミュニケーション

<マテリアリティ>

テーマ 詳細 機会 リスク

自然資本の保護と
最適活用

環境への負荷低減は、持続可能な地球環境を次世代に引き継いでいくためにも、また、100年先まで続く企業体を目指す当社グループにとっても取り組むべき大きな課題の一つです。当社グループは自らの事業活動で使用する自然資本の実態把握と効率的活用策を講じるだけでなく、業界全体でのプロダクトミックス、資源利用の最適化にも積極的に寄与することで持続可能な業界・事業環境の構築を目指します。

  • 紙・電子を含めた出版業界全体のベストミックスを検討し、DX推進することで事業機会が創出できる
  • 電子書籍を普及させることで、紙資源等の有効利用や流通にかかる物流エネルギーの抑制に貢献すると同時に自社ビジネスが拡大する
  • 返本、廃棄の増加によるエネルギー消費や温室効果ガスの排出量の高止まりが続くことによる業界の沈下懸念
  • 再生可能エネルギー導入コストの上昇や対応コストの発生、対応遅滞による外的評価の低下

当社グループにとってのサステナビリティとは、自らの事業・提供サービスが健全な経済社会の形成と著作物がもたらす文化の発展に貢献する、という責任と自負を持って役職員が一丸となって積極的に企業活動に取り組むことです。Mission/Visionとも合致する、この実践と体現が企業価値創出の根源であるとの認識のもと、事業活動を遂行します。

  • 企業理念の実践と文化発展/知的活動への寄与
  • 著作者、出版社、ユーザー(読者)が安心・信頼して利用できる仕組みの提供によって社会インフラとなる
  • ステークホルダーとの信頼関係の構築による相互発展の実現と自社プレゼンス向上が図られる
  • 知的創作物、創作者の減少による文化発展/知的活動の阻害
  • 業界衰退の加速と自社プレゼンスの弱体化による競争優位の低下及び売上・利益の減少

社是において「人が成長し続ける限り、メディアドゥも成長し続ける」と示している通り、「人材」は持続的成長に必須の経営資源です。社員一人ひとりの「人としての成長と可能性」を最大限に引き出し、自立を促しながら、自己の成長を実感してもらい、自らの可能性を感じながら率先してチャレンジできる環境を創造します。

  • 身体的、精神的、社会的に満たされる職場環境を整備することによって人材の確保・定着が促進され経営基盤の安定化が図られる
  • 多様な価値観や個性を受容・包摂することによって人的資本の高度化や生産性が向上する
  • 働く環境における負の影響が増大することによる人材確保難、離職率の増加及び経営基盤の不安定化
  • 人的資本の不足によるサービスクオリティ/カスタマーサクセスの低下、労働生産性の低下

社是に掲げるとおり、従業員一人ひとりの可能性を信じ、自己成長や自身の挑戦が会社の成長に繋がるwin-winの関係となることを目指します。また、研修制度や評価システムの改善・充実により、イノベーションを武器として変化の中に機会を見出し、新たなアイデアを形にする、あるいは課題解決へと繋げていくアントレプレナーシップの醸成に努めながら人材の開発と育成に取り組みます。

  • 変化する雇用形態や消費者等のステークホルダーニーズを捉え、自律・自走型人材を開発・育成することで、組織のレジリエンスが向上する
  • アントレプレナーシップを醸成し、能力発揮と成長機会の提供によってイノベーション創出の機会を増加させる
  • 組織の硬直化による変化耐性の減退及び組織基盤の弱体化
  • イノベーション創出能力の減退による企業競争力の低下及び利益獲得機会の減少

当社グループは社会の持続可能性と当社グループの提供価値の同期化をより一層、進化させていくために、社会と当社グループの関係性のあり方を常に意識します。同時に、社会や地域が抱える課題に対して、自らの枠を超えて、あらゆるステークホルダーと協働するコレクティブインパクト・アプローチに取り組むことで社会インパクトの創出に取り組みます。

  • 地域社会とそれを取り巻くステークホルダーとの連携によってコレクティブインパクトが創出できる
  • 地域社会課題解決と地域創生の実現によってステークホルダーからの信頼獲得とブランド価値が向上する
  • ソーシャルインパクト創出機会と事業機会の減少
  • 幅広いステークホルダーとの連携/エンゲージメント機会の減少によるステークホルダーからの信頼や支援者の減少及びブランド価値の減退

当社グループは、社会や業界が抱える課題に対して、テクノロジーファーストでのソリューション開発・提供に取り組みます。また、当社グループは自らのデジタルトランスフォーメーション(DX)への挑戦と実践によって、多様なステークホルダーの多様な価値観に応じたプロダクトやサービスを提供し、コンテンツ業界のDXを支える存在となることを目指します。

  • 事業・サービスに応じた最適なテクノロジーの選択により差別化を図ることで企業競争力が強化される
  • 先端分野の研究・開発を自社で行うことをエンジニアの成長機会と捉え、提供ソリューションのケイパビリティを拡大できる
  • 技術資産の陳腐化・コモディティ化の進行による競争優位の弱体化
  • 最適なテクノロジーが利用できないことによる事業機会の減少や効率性の悪化

当社グループでは、豊かな文化発展のための社会インフラを提供し、著作物の健全なデジタル流通と創造サイクルの構築というミッションを実現するためには、著作者、出版社、書店、ユーザー(読者)といった各ステークホルダーが安心・信頼して利用できる仕組みやシステムの構築が不可欠との前提に立ち、情報セキュリティの確保は経営上の重要事項として、全社課題としてその強化に取り組みます。

  • 著作者、出版社、ユーザー(読者)が安心・信頼して利用できる仕組み・サービスを提供する
  • 著作物流通におけるインフラ機能を誠実に履行することによって顧客からの信頼が獲得される
  • 情報・データ漏洩等によるレピュテーションの毀損
  • サービスダウン等のインシデントの発生による対応コストの発生や収益機会の逸失

戦略投資の
実行と
事業
ポートフォリオ
最適化

当社グループは、資本コストや資本収益性を常に意識しながら規律ある投資行動と効率的な事業運営に努めることで、創出する事業価値の最大化を図ります。また、これら投資の実行と併せて、経営・事業の多角化を図りながら最適な事業ポートフォリオを構築に取り組み、ありたい姿として掲げる「Publishing Platformer」を実現していきます。

  • バランスシートをベースとする資本コストや資本収益性を意識した経営を実践することによる企業価値の拡大
  • 投資規律の適正運用と適切な経営資源配分によって財務バランスの維持と経営の多角化を両立させることで、企業競争力が強化される
  • 固定資産の減損等、バランスシートの毀損による事業価値の低下
  • 成長力の低下による企業価値の減退

ガバナンス強化

当社グループでは、経営のグローバル化が進む中で、更なる業容拡大、企業価値の向上の観点から、コーポレート・ガバナンスの充実による経営の健全性と透明性の向上が重要な経営課題であると認識しています。公正かつ透明性、実効性の高い経営の実現に向けて、取締役会の監督のもと、適切な資源配分、意思決定の迅速化等、コーポレート・ガバナンスにおける不断の改善を図ります。

  • 透明性・信頼性の高いガバナンスに向けて不断の改善を行うことで経営基盤が強化され、ありたい姿が実現される
  • ステークホルダーからの信頼が獲得される
  • ガバナンスの機能不全による経営基盤の弱体化、事業継続性の低下及び企業価値の毀損
  • レピュテーション毀損と企業価値の毀損

コンプライアンス
強化

健全性の向上のためには、企業倫理の確立や意識の全社的な浸透が必須であり、これにより当社グループや各機関及び全役職員一人ひとりが的確、かつ公正な意思決定を行う風土が醸成されると考えます。同時に、企業市民として有する社会的責任を常に意識して行動することが様々なステークホルダーからの信頼の獲得に繋がるという認識のもと、事業活動を遂行していきます。

  • 法令を遵守し、誠実な事業活動を行うという企業市民としての義務を果たす
  • 規律ある事業活動の遂行により社会からの信頼が獲得される
  • コンプライアンス不備・違反による事業活動の停止・停滞
  • 社会的信用の失墜、レピュテーション毀損と企業価値の毀損